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2012年度 東湘南支部総会報告

 5月19日(土)、東湘南支部の総会は、もったいないほどに祝福された一日でした。天候に恵まれ、ゲストに恵まれ、そしてテーマに恵まれました。
 午前中に集まった23名ほどの有志は、鎌倉の銭洗い弁財天から源氏山へ抜ける散歩道を約1時間半、強い日差しの下、快適なウォーキングをしました。疲れた体にむち打って昼からの会場である、いの上かまぼこ店の3階へと向かいました。午後からは39名が集い、東湘南支部総会が始まりました。
 今年の呼び物は、なんといっても宝井琴柑さんの講談です。明治学院創始者であり、宣教医でもあったヘボン博士が、歌舞伎の名優女形役者三代目の澤村田之助の脱疽になった足を治したという有名な話を、琴柑さんがユーモアとペーソスを交えて1時間近くも語ってくれました。奥の歯をぎゅっと噛み締めて麻酔薬もかけずに手術をしてもらった田之助さんの忍耐強さと役者気質を丁々発止と語ったかと思うと、ちょっと声をひそめて、えー講談というのは物事を針小棒大に語るものでして、実際は麻酔薬のクロロフォルムを使ったということです、と一声解説が入ると、聴衆はどっと笑いました。その聴衆の中には、これまた今日の上客である、六代目田之助さんがいらっしゃいました。縁あって、ご来場くださる光栄に浴し、人間国宝たる方を私たちはまじかに拝見することができました。琴柑さんの講談を片隅の席でじっとお聴きになって、「あんなに語ってくれるとは。おじいさんから聞いた三代目の話そのものです」との感想をもらされました。曾祖父の田之助さんの話は本当に今ここで起こっていることのような親近感があったのではないかと思います。
 理事の岩谷さんが、厚くて重いヘボン博士の「和英語林集成」の実物までわざわざ持つてきてみせてくださいました。そして来年の学院創立150周年に向けて、卒業生みんなが意識を高め、募金に協力をするように大きな募金箱まで実際に持ってきてくださいました。鍵がかけてあるので、すぐには開けることはできませんでしたが、少しでも明治学院の150周年記念に役立てたら、という思いはみんなに伝わりました。
 懇親会も終わって、いつもの校歌の合唱です。シャンテ湘南に属する阿部俊さんの指揮のもとで、島崎藤村の詩を、出だしは静かに最後は高らかに歌うというコツを教えていただき、すばらしい校歌を謳いあげることができました。日本一の校歌だそうです。
 そしてやはり、最後は感謝の祈りです。湘南学院の宗教主任の磯部先生が祈ってくださいました。なんと祝福されたひとときだったことでしょう。そして明治学院のOBOGが、ヘボン博士の精神を没後100年経ってからも、こうして受け継いでいくことのできる恵みに、感謝したい気持ちでいっぱいでした。
記 新倉勢子